So-net無料ブログ作成
検索選択
小林秀雄 ブログトップ
前の20件 | -

小林秀雄の言葉 ( その55 [小林秀雄]

 諸君は又こういう事を考えてみないか。 混乱していない現代というものが、 嘗てあったであろうか、 又将来もあるであろうか、と。       「 現代女性 」 11-九四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.78)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その54 ) [小林秀雄]

 決断だとか勇気だとか意志だとかを必要とする烈しい行為にぶつかる機もなく、 又そういう機を作ろうとも心掛けず、 日々を送っている人間は、 心理の世界ばかりを矢鱈に拡げて了うものだ。 別に拡げようとするのではないが、 無為な人の心は、 取止めもない妄念や不逞な観念が、 入乱れて棲むのに大変都合のいい場所なのである。       「 現代女性 」 11-九二 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.78)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その53 ) [小林秀雄]

 書物の数だけ思想があり、 思想の数だけ人間が居るという、 在るがままの世間の姿だけを信ずれば足りるのだ。 何故人間は、 実生活で、 論証の確かさだけで人を説得する不可能を承知し乍ら、 書物の世界に這入ると、 論証こそ凡てだという無邪気な迷信家となるのだろう。 又、 実生活では、 まるで違った個性の間に知己が出来る事を見乍ら、 彼の思想は全然誤っているなどと怒鳴り立てる様になるのだろう。 或は又、 人間はほんの気まぐれから殺し合いもするものだと知ってい乍ら、 自分とやや類似した観念を宿した頭に出会って、友人を得たなどと思い込むに至るか。  みんな書物から人間が現れるのを待ち切れないからである。 人間が現れるまで待っていたら、 その人間は諸君に言うであろう。 君は君自身でい給え、 と。 一流の思想家のぎりぎりの思想というものは、 それ以外の忠告を絶対にしてはいない。 諸君に何んの不足があると言うのか。       「 読書について 」 11-八八 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.77)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その52 ) [小林秀雄]

 文字の数がどんなに増えようが、 僕等は文字をいちいち辿り、 判断し、 納得し、 批評さえし乍ら、 書物の語るところに従って、 自力で心の一世界を再現する。 この様な精神作業の速力は、 印刷の速力などと何んの関係もない。 読書の技術が高級になるにつれて、 書物は、 読者を、 そういうはっきり眼の覚めた世界に連れて行く。 逆にいい書物は、 いつもそういう技術を、 読者に眼覚めさせるもので、 読者は、 途中で度々立ち止り、 自分がぼんやりしていないかどうか確めねばならぬ。 いや、 もっと頭のはっきりした時に、 もう一っぺん読めと求められるだろう。 人々は、読書の楽しみとは、 そんな堅苦しいものかと訝るかも知れない。 だが、 その種の書物だけを、 人間の智慧は、 古典として保存したのはどういうわけか。 はっきりと眼覚めて物事を考えるのが、 人間の最上の娯楽だからである。       「 読書について 」 11-八七 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.77)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その51 ) [小林秀雄]

 書物が書物には見えず、 それを書いた人間に見えて来るのには、 相当な時間と努力とを必要とする。 人間から出て来て文章となったものを、 再び元の人間に返す事、 読書の技術というものも、 其処以外にはない。 もともと出て来る時に、 明らかな筋道を踏んで来たわけではないのだから、 元に返す正確な方法があるわけはない。       「 読書について 」 11-八三 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.76)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その49 ) [小林秀雄]

 濫読による浅薄な知識の堆積というものは、 濫読したいという向う見ずな欲望に燃えている限り、 人に害を与える様な力はない。 濫読欲も失って了った人が、 濫読の害など云々するのもおかしな事だ。 それに、僕の経験によると、 本が多過ぎて困るとこぼす学生は、大概本を中途止める癖がある。 濫読さえしていない。    「 読書について 」 11 - 八〇  (人生の鍛錬 P.74)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その48 ) [小林秀雄]

 僕は、高等学校時代、 妙な読書法を実行していた。 学校の往き還りに、 電車の中で読む本、 教室で窃かに読む本、 家で読む本、 という具合に区別して、 いつも数種の本を平行して読み進んでいる様にあんばいしていた。 まことに馬鹿気た次第であったが、 その当時の常軌を外れた知識欲とか好奇心とかは、 到底一つの本を読み了ってから他の本を開くという様な悠長な事を許さなかったのである。 「 読書について 」 11 - 八〇  (人生の鍛錬 P.74)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その47 ) [小林秀雄]

 独創的に書こう、 個性的に考えよう、 などといくら努力しても、 独創的な文学や個性的な思想が出来上るものではない。 あらゆる場合に自己に忠実だった人が、 結果として独創的な仕事をしたまでである。 そういう意味での自己というものは、 心理学が説明出来る様なものでもなし、 倫理学が教えられる様なものでもあるまい。 ましてや自己反省という様な空想的な仕事で達せられる様なものではない。 それは、実際の物事にぶつかり、 物事の微妙さに驚き、 複雑さに困却し、 習い覚えた 知識の如きは、肝腎要の役には立たぬと痛感し、 独力の工夫によって自分の力を試す、 そういう経験を重ねて着々と得られるものに他ならない。    「 疑惑Ⅰ 」 11 - 七七  (人生の鍛錬 P.73)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その46 ) [小林秀雄]

 過去の人間の真相は知り難いというが、 現在の人間の真相を知る方が、 もっと容易だとは言えまい。 更に又自分の真相とは一体どういうものだろう。 要するに凡そ物の真相とは、 人間が追求するが発見は出来ない或るものの様にも考えられるし、 発見はするが追求は出来ない或るもののようにも考えられる。 恐らくどちらも本当であろう。   「エーヴ・キューリー 「キューリー夫人伝」 11 - 五一 (人生の鍛錬 P.72)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その45 ) [小林秀雄]

 平和とは休戦期の異名だ、 と誰かが言った。 それは本当の様だが嘘である。 頭の中で平和と戦とを比較してみた人の理窟である。 だが実際の平和と実際の戦とは断然とした区別があるのではあるまいか。 人間は戦うまで戦というものがどういうものか知らぬ。 どんなに戦の予想に膨らんだ人もほんとうに剣をとって戦うまでは平和たらざるを得ない。 人間は戦う直前に何か知らない一線を飛び越える。    「 満州の印象 」 11 - 一九  (人生の鍛錬 P.72)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その44 ) [小林秀雄]

 僕等が自分達の性格に関する他人の評言が気に食わぬのは、 自分を一番よく知っているのは自分だという自惚れに依るのでは恐らくないだろう、 凡そ性格に関するはっきりした定義を恐れているのだ。 自分はどの様な人間にせよかくかくの人間だとどうしようもなく決められるその事を、 人性は何にもまして好まないのである。 僕等は他人の性格に関しては、 はっきりした知識を持った気でいる事が便利だが、自分白身の性格に関しては不得要領に構えているのが便利である。 いや便利と言うより、 己れの何物たるかをはっきりとは合点出来ない事が、 僕等の生きるに必要な条件かも知れない。   「 山本有三の 『 真実一路』 を廻って 」 10-二二八 (人生の鍛錬 P.68)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その43 ) [小林秀雄]

 事実は小説より奇だ、 これは実に本当の事である。 言語に絶する光景という様なものは、 なかなか日常見られるものではないと僕等は思い込んでいる。 ただそう思い込んでいるだけだ。 若し心を空しくして実生活を眺めたら、 日常生活も驚くべき危機に満ちている。
  「 山本有三の 『 真実一路』 を廻って 」 10-二二二 (人生の鍛錬 P.67)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その42 ) [小林秀雄]

 僕は非常に音楽が好きである。 だから、 演奏会では、 よくうとうと眠る。 笑う人もあるが、 河上徹太郎の様な音楽の造詣の深いのになると、 そんな風になると一人前だと言って褒めてくれる。 実際、 演奏会で音楽を聞いている状態は、 床の中で寝ようとする時の状態に酷似しているのであって、 言ってみれば絶対の屈従によって、 心の自由を獲得しょうとする状態なのである。
  「山木有三の 『 真実一路 』 を廻って 」 10-二一四 小林秀雄 (人生の鍛錬 P.67)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その41 ) [小林秀雄]

 非常時の政策というものはあるが、 非常時の思想というものは実はないのである。 強い思想は、 いつも尋常時に尋常に考え上げられた思想なのであって、 それが非常時に当っても一番有効に働くのだ。 いやそれを働かせねばならぬのだ。 常識というものは、人々が尋常時に永い事かかって慎重に築き上げた思想である。  「 支那より還りて 」 10 - 一七〇   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.66)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その40) [小林秀雄]

「 私の眼は光っている。 だが私の心は暗いのだ 」 とチェホフが 「 手帖 」 のなかに書いていたのを昔読んだ事がある。 折にふれて心のなかに又新しく幾度でも甦る言葉というものがあるものだが、 僕にとってはそういう言葉の一つである。 僕の様な眼でも幾分ずつでも強く光って来る事は出来るのだ。 いや自ら努めて出来る事はそういう事だけだ。 併し心を明るくする事は出来ない。 そんな方法はないのである。  「 雑記 」 10 - 一二六   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.66
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その39 ) [小林秀雄]

 恋愛とは、 何を置いても行為であり、 意志である。 それは単に在るものではなく、 寧ろ人間が発見し、 発明し、 保持するものだ。 だから、 恋愛小説の傑作の美しさ、 真実さは、 例外なく男女が自分等の幸福を実現しょうとする誓言に基くのである。      「 志賀直哉論 」 10 - 一0八   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.66)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その38 ) [小林秀雄]

 僕等はいつも知らず識らず愛情によって相手をはっきり掴んでいるのだ。 成る程、 僕等は相手を冷静に観察はするが、 相手にほんとうに魅力ある人間の姿を読む為には、 観察だけでは足りない。 愛情とか友情とか尊敬とかが要るので、そういうものが観察した人間の姿を明らかに浮びあがらせる言わば仕上げの役目をする。      「 志賀直哉論 」 10 - 一0五   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.66)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その37 ) [小林秀雄]

 人生を解釈する上に非常に便利な思想というものは、 その便利さで身を滅ぼす。 便利さが新たな努力を麻痺させるからだ。
   「 志賀直哉論 」 10 - 一0一   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.65)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その36 ) [小林秀雄]

 肉体の病人は、 ごく軽い病人でも、 健康を切望するものだが、 精神の病人は、 いくら精神が腐って来ても、 それに気が附かないだけの口実は用意する・・・・・・
   「 志賀直哉論 」 10 - 九五   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.65)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

小林秀雄の言葉 ( その35 ) [小林秀雄]

 眼の前に一歩を踏み出す工夫に精神を集中している人が、 馬鹿と言われ、 卑怯と言われ乍ら終いには勝つであろう。 四百年も前にデカルトが 「 精神には懐疑、 実行には信念を 」 という一見馬鹿みたいな教えを書いた。 人々は困難な時勢にぶつかって、 はじめてそういう教えに人間の智慧の一切がある事を悟るのであるo
  「 文芸雑誌の行方 」 10 - 八八   小林秀雄 (人生の鍛錬 P.64)
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
前の20件 | - 小林秀雄 ブログトップ