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岡潔の言葉 ( その22 )  [岡潔]

 人の情緒は固有のメロディ—で、 その中に流れと彩りと輝きがある。 そのメ口ディーがいきいきしていると、 生命の緑の芽も青々としている。 そんな人には、 何を見ても深い彩りや輝きの中に見えるだろう。 ところが、 この芽が色あせてきたり、 枯れてしまったりしている人がある。 そんな人には何を見ても枯野のようにしか見えないだろう。 これが物質王義者とよばれる人たちである。 生命の緑の芽の青々とした人なら、 冬枯れの野に大根畑を見れば、 あそこに生命があるとすぐわかる。 生命が生命を認識するのである。 こうした人にはまた、 真善美の実在することもわかる。 しかし、 物質王義者には決してわからない。   「 春風夏雨 」 ( 情緒と日本人 27頁)
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岡潔の言葉 ( その21 )  [岡潔]

 情と愛 ( 欧米でいう ) とは違う。 愛も情にちがいないがごく浅いのであって、 情は心が通い合うのであるが、 愛は自他対立する。 愛を連続的に変化させるといつの間にか憎しみに変わる。 それで仏教では愛憎というのである。   「 一葉舟 」 ( 情緒と日本人 27頁)
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岡潔の言葉 ( その20 )  [岡潔]

 情緒の中心の調和がそこなわれると人の心は腐敗する。 社会も文化もあっという間にとめどもなく悪くなってしまう。 そう考えれば、 四季の変化の豊かだったこの日本で、 もう春にチョウが舞わなくなり、 夏にホタルが飛ばなくなったことがどんなにたいへんなことかがわかるはずだ。 これは農薬のせいに違いないが、 農薬をどんどんまいてはしごをかけて登らなければならないような大きなキャベツを作っても、 いったい何になるのだろう。 キャベツを作る方は勝手口で、 スミレ咲きチョウの舞う野原、 こちらの方が表玄関なのだ。 情緒の中心が人間の表玄関であるということ、 そしてそれを荒らすのは許せないということ、 これをみんながもっともっと知ってほしい。 これが私の第一の願いなのである。
   「 春宵十話 」 ( 情緒と日本人 26頁)
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岡潔の言葉 ( その19 )   [岡潔]

 あなた方にぜひおすすめしたい本に、 フランスの作家 サン=テグジュペリ の日本語訳 「 星の王子さま 」 というのがあります。 童心を知るまことによい本です。
 そうすると、 きっと気づくでしようが、 日本人と情緒がまったく同じであること、 ただちがうのは、 表現がひどく歯切れがよい、 ということです。
  「風蘭」 ( 情緒と日本人 127頁)

 文美禄 : 本は誰でもご存知でしょうから、ここではリンクしません。 もう、 ずいぶん前に映画館で見たミュージカルで、音楽がとてよくて、 サウンドトラックのLPを買い、 何度も聞きました。 その後しばらくして、 発売されたDVDを買って、懐かしく見ました。 それが、 このDVDです。

星の王子さま [DVD]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD



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岡潔の言葉 ( その18 )  [岡潔]

 どの曲がだれのものだとか、 そんな知識は全然ないが、 ともかく音楽を聞くのは好きである。 数学と音楽が特に縁が深いというのも一般にいわれていることである。 道元禅師は 「 はじめ身心を挙 ( こ ) して色 ( しき ) を看取し、 身心を挙して音を聰取せよ 」 といっているが、 それがすんだらこんどは 「 身心を挙して色を聴取し、 身心を挙して音を看取せよ 」 といっている。 芸術の鑑賞はやはりこれが本当なのではなかろうか。 それからみると一般に考えられている芸術鑑賞というものは、 すべて芸術を浅く見すぎているのではないかと思う。
   『春宵十話』 ( 情緒と日本人 112頁)
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岡潔の言葉 ( その17 ) [岡潔]

 たとえばモデルを女性として尊重しないような絵かきが多い。 そういう人の絵は人類にとつてプラスとは考えられない。 随所に間違いがあらわれている。 すべてのことが人本然の情緒というものの同感なしには存在し得ないということを認めなくてはなりません。 女性のモデルを女性としてよりも妙に取り扱う、 けもの的に取り扱う。 そういう状態でよい絵がかけたら、 絵について考え直さなければいけないが、 幸いよい絵はかけていない。 そのことに気づかないということはいけない状態です。
  「 対話 人間の建設 」 (人間と人生への無知) 49頁
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岡潔の言葉 ( その16 )  [岡潔]

 フローベルは、 悪文は生理に合わないから、 息苦しくなると言っておりますが、 絵も同じです。 自我が強くなければ個性は出ない、 個性の働きを持たなければ芸術品はつくれない、 と考えていろいろやっていることは、 いま日本も世界もそうです。 いい絵がだんだんかけなくなっている原因の一つと思いいます。 坂本繁二郎という人は、 そんなにたくさん絵をかいておりませんけれども、 あの人が死んだら、後継ぎは出ないでしょうし、 高村光太郎の彫刻もそうです。 こういうのを美というのだと思います。 今の芸術家はいやな絵を押し切ってかいて、ほかの人にはかけないといって威張っている。
 「 対話 人間の建設 」 (無明ということ) 11頁 ※ 岡潔の言葉 ( その15 ) の続き


人間の建設 (新潮文庫)

人間の建設 (新潮文庫)

  • 作者: 小林 秀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/02/26
  • メディア: 文庫



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岡潔の言葉 ( その15 )  [岡潔]

 それほど私はピカソを高く評価しておりません。 ああいう人がいてくれたら、 無明のあることがよくわかって、 倫理的効果があるから有意義だとしか思っておりません。 ピカソ自身は、 無明を美だと思い違いしてかいているのだろうと思います。 人間の欠点が目につくということで、 長所がわかるというものではありませんね。 とうてい君子とはいえない。 小人にはいるでしょう。 アビリティはあります。 ピカソの絵の前にながく立っていると、 額から脂汗が出る感じです。 芥川がどこかの絵の展覧会で、 気に入った絵を見ていると、 それまで胃の全面にひろがっていた酸が一瞬に引くように感じたということを言っておりますが、 絵の調和とか不調和とかいうものは、 生理、 とくに胃の生理と結びついているように私は思うのです。 ピカソの絵は、とうてい長く見ていられない。 あれを高い値で買って居間に掛けようというのは、妙な心理です。    「 対話 人間の建設 」 (無明ということ) 10頁
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岡潔の言葉 ( その14 ) [岡潔]

 吉川英治という小説家のことですが、 あの人とは三、四日会っただけですが、 非常によい友人になりました。 あんなに直観の働く人はめったにいない。 どんなふうな直観の働き方かというと、 人の心がわかってしまうのです。 それで私の家内は、 吉川さんくらい話しやすい人はないといいます。 そういうふうに直観が働く。 つまり相手がこういいたがっているなといち早く知って、 それがいいやすいように仕向けてくれるから、 ひどく話しやすいのです。 その吉川さんが小学校までしか行っていない。 だから、 あんな直観のよく働く人がなぜできたかというと、小学校までの教育しか受けなかったからだといえるんじゃなかろうかと思います。 実に人の心がよくわかる。 女性に、あの人は話しやすいといってほめてもらえるようなたちの直観のよく働く人になってみたいですね。
    「 岡潔集 」 ( 第五巻 ) ( 情緒と日本人 125頁)
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岡潔の言葉 ( その13 )  [岡潔]

 よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、 私は野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。 咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、 それはスミレのあずかり知らないことだ。 咲いているのといないのとではおのずから違うというだけのことである。 私についていえば、 ただ数学を学ぶ喜びを食べて生きているというだけである。 そしてその喜びは 「 発見の喜び 」 であって、 平生の喜びは甘さが淡く、生甲斐 ( 生命の充実感 ) である。     「春宵十話」* ( 情緒と日本人 101頁)
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岡潔の言葉 ( その12 )  [岡潔]

 情操教育が進んで、 欲望と情操との限界、 これを 「 情界 」 といいます、その情界が上がってゆくに従って、 漫画的なものは見るも醜悪で顔をそむけたくなるか、 または怒りがこみ上げてきます。 これは公憤であって、 私憤ではありません。
 ここまでお話してきまして、私は情操教育で一番大切なことが何であるかを、 ようやく自覚することができました。
 「 何よりも漫画的なものを見せないこと 」 であります。
 これが道元禅師の特にやかましくいった 「 諸悪莫作 」 であります。

   「 月影 」 ( 情緒と日本人 165頁 )   注: 諸悪莫作 ( しょあくなすなかれ )
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岡潔の言葉 ( その11 )  [岡潔]

 数学によく似ているのは詰将棋である。 これは詰まらないからいかにも不思議に思う。 だからおもしろいのである。 そういうときは盤や駒は使わない。 目はやはり閉じているのだが、 額の裏とおぼしき所に盤と駒が見えるのである。 詰めが終わって小便に立つと、 便所の壁にハッキリと将棋盤と駒が映る。 これは肉眼で見えるのである。 「 月影 」 ( 情緒と日本人 108頁 )
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「 数学する人生 」 を読んでいます。 [岡潔]


数学する人生

数学する人生

  • 作者: 岡 潔
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/02/18
  • メディア: 単行本


  「 松原さおり/父、岡潔の思い出 」 を 5 回 にわたって掲載しましたが、これは今回掲載した 「 数学する人生 」 岡 潔、森田真生編 の 「 刊行記念インタビュー 」 の記事を一部掲載したものです。 (全文はネット上で読むことができます) 読みかけですが 「 数学する人生 」 には、 岡潔氏の書いたり語ったりした内容が、 凝縮されているようです。
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父、岡潔の思い出 (その5) (完) [岡潔]

 父は私たちによくこう言いました。 「 何かやりたいこと、 成したいことがあったら、 一生それを思い続けなさい。 一生思い続けて駄目だったら、 二生目も、 三生目も思い続けなさい。 そうすれば、 やがて実る 」 。
 岡潔に関してとにかくびっくりするのは、 普通の人には見えないところまで、 ものが見えたということです。 父の前に座って何も口にしなくても、 私が何を考えているか、 見通していたでしょう。
 表面に出てきた事物を見て、 出るに至る心の軌跡を見通してしまうのです。 世間的、 物質的なことにはとらわれず、 心を綺麗にして、 真摯に自我を張らずにやっていると、 段々心の目がよく見えてくるのでしょう。
 こういうことができたのは、 父の人間が古いからなのだと私は思っています。 何生も生きてきたその 「 生 」 の数が多いのでしょう。 積み重ねてきた経験がたくさんあるから、 ずっと先の方まで見通すことができた。 そういう意味で、 父は古い人間で、 誰よりも心優しく、 信頼できる人でした。

[ 岡 潔、森田真生編 『 数学する人生 』 刊行記念インタビュー ]
松原さおり/父、岡潔の思い出 聞き手・森田真生 (独立研究者)
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父、岡潔の思い出 (その4) [岡潔]

 父は、 「 人を先にして自分を後にせよ 」 という家訓のもとに育てられました。 私もこの教えをずっと貫こうと思っています。 父の思想にはいろいろな側面がありますが、 根本は、 「 自分を後にする」ということだと思います。 つまり自我を抑えて真我になる。 そうすると自他の区別がなくなる。 自分も他人も自然も同じ心の中の一つの個になる。 だから父は、 びっくりするほど心が澄み切っていました。 人のことを構わず、強い物言いをするときもありましたが、 それは他人だと思っていないから。
 とにかく、 自我をのさばらせないこと。 子どもを育てるときには特にそうですが、 これがすべてに通じる基本だと思うのです。

[ 岡 潔、森田真生編 『 数学する人生 』 刊行記念インタビュー ]
松原さおり/父、岡潔の思い出 聞き手・森田真生(独立研究者)
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父、岡潔の思い出 (その3) [岡潔]

 講義もそうですが、 この書はもっと難解です。 いま読まれると誤解されることもあるだろうと思います。 それでも、 二百年後か三百年後かに、 理解される日が来ると信じています。 それまで、 きちんとこの作品を残しておきたいと思います。
 近くで生きてきて一つ言えることは、 父は、本当のこと、 確信していることしか口にしないということです。 いつどんな場合でもそうでした。
 だから、 岡潔の言っていることは、 全部本当だと思っているのです。 「春雨の曲」にも、 講義録にも、 わからないところはたくさんありますが、 わからないのは私が幼な児のように無垢じゃないから。 それでも、 ここに書かれていることはすべて真実だと思って読んでいます。 私が人としてもっと成長した将来、 これは常識として受け止めているでしょう。

  [ 岡 潔、森田真生編 『 数学する人生 』 刊行記念インタビュー ]
  松原さおり/父、岡潔の思い出 聞き手・森田真生(独立研究者)
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父、岡潔の思い出 (その2) [岡潔]

 父は、 「 人を先にして自分を後にせよ 」 という家訓のもとに育てられました。 私もこの教えをずっと貫こうと思っています。 父の思想にはいろいろな側面がありますが、 根本は、 「 自分を後にする 」 ということだと思います。 つまり自我を抑えて真我になる。 そうすると自他の区別がなくなる。 自分も他人も自然も同じ心の中の一つの個になる。 だから父は、 びっくりするほど心が澄み切っていました。 人のことを構わず、 強い物言いをするときもありましたが、 それは他人だと思っていないから。
 とにかく、 自我をのさばらせないこと。 子どもを育てるときには特にそうですが、 これがすべてに通じる基本だと思うのです。

  [ 岡 潔、森田真生編『数学する人生 』 刊行記念インタビュー ]
  松原さおり/父、岡潔の思い出 聞き手・森田真生 (独立研究者)
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父、岡潔の思い出 [岡潔]

 とにかく、集中しているときは、研究以外のことはなにも無くなってしまうのです。
 これも私が十歳の頃ですが、 あるとき父が考え事をしながら向こうから歩いてくるので、 ちょっといたずらをしてやろうと、目の前に行って、 仰々しくお辞儀をしてみたことがあります。 すると父は、えも言われぬ優しい笑顔で、びっくりするほど丁寧にお辞儀を返して、 そのまままっすぐ歩いて行きました。 いくら集中しているとはいえ、 娘と認識してもらえなかったのですから、 このときはさすがに戸惑いました。
 いま思えば父はそのとき、 理屈も言葉も何もない「情」だけの世界にいたのです。 だからあんなになんともいえない笑顔だったのでしょう。

[ 岡 潔、森田真生編 『 数学する人生 』 刊行記念インタビュー ]
松原さおり/父、岡潔の思い出 聞き手・森田真生(独立研究者)

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岡潔の言葉 ( その10 ) [岡潔]

 情緒がよくわかるように教育するとどういう利益があるかを、 一つだけここで言っておこう。 情緒がよく見えるようになると、 自分の今の心の色どりがすぐにわかるから、 いやな心はすぐ除き捨てるようになる。 これは実に 「 念の異を覚する大菩薩の戒 」 の守り方である。 それが一般の人たちに容易に実践できるようになると、 そうなるとどんなによいだろうとお思いになりませんか。  「紫の火花」 ( 情緒と日本人 146頁 )
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岡潔の言葉 ( その9 )  [岡潔]


情緒と日本人 (PHP文庫)

情緒と日本人 (PHP文庫)

  • 作者: 岡 潔
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫


 心の眼が開いていないと、 もののあるなしはわかるが、 もののよさはわからない。 たとえば秋の日射しの深々とした趣はけっしてわからないのである。
「 月影 」 ( 情緒と日本人 47頁 )
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